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３月11日ディズニーランドで
３月11日、午後2時46分。
「夢の国」であるディズニーランドで
楽しいひと時を過ごしていた人たちは
地獄へ突き落とされました。
突然襲う激しい揺れ。
泣き叫ぶ子供たち。
その場所から逃げようと
無我夢中になる人々。
広い園内が大パニックに陥ろうとしたそのとき、
場内に男性のアナウンスが流れました。
震災発生から約40秒が経過していました。
「皆様におしらせいたします。ただ今、地震がありました。建物のそばにいらっしゃる方は建物から離れて広いところでお待ちください」
「地震と園外の状況は、確認が取れ次第、ゲスト（来園者）の方々にお知らせします」
そして、沈着冷静に行動する
1万人のキャスト（従業員）たち。
「頭を守ってしゃがんでください！」
「どうぞその場から動かず、お座りになってください！」
と声をかけながら、
不安で怯える来園者に駆け寄り、
心身のケアを行います。
これが7万人もの来園者を一切混乱させず、
無事避難誘導した東京ディズニーリゾートの
キャスト（従業員）たちの活躍の始まりでした。
万が一の事態が起こり、
客が怪我をしたり、
最悪の死という状況に至ったりすれば、
「夢の国」のブランドが嘘になります。
想定外を想定内にしておく備え。
それがあってこそ、
日常を忘れて虚構世界に
浸ってもらうことが可能になります。
現場レベルで判断できない重要事項を
統括本部が決定する間、
全従業員の90％を占めるアルバイトスタッフが
各々の活躍を見せました。
独自に作った地震対策基本計画に基づく防災訓練で、
使えそうなものはなんでも使用してよく、
ゲストの安全確保のためには、
たとえ店舗の商品であっても
率先して提供してよいとされています。
夜。
7万人のうち、
帰宅できない2万人が
ここで一夜を過ごすことになりました。
早く来園者を建物内に入れたい。
そこで、先に（安全）点検が済んだ
ディズニーシーへ移動してもらうことに。
一般通路を歩いての移動は大きく回り道になりますし、
その上液状化現象を起こしています。
そこで、統括本部は
従業員専用のバックヤードと
呼ばれる通路を解放することにしました。
そこは、配線や基盤がむき出しになった
工場のような空間。
「夢の国」を支える裏側を見せることは
自殺行為に等しいもの。
しかし、スタッフが開ける扉の先に
広がる光景に来園者は目を奪われました。
何百人ものスタッフが
ペンライトを片手に両サイドに並び、
光の道を作っていたのです。
来園者の安全を確保しつつ
イメージも演出。
支給された毛布を使用し、
無事に2万人は夜を過ごしました。
非常食の「ひじきご飯」
もふるまわれました。
東京ディズニーリゾートでは、
震度6、来場者10万人を想定した防災訓練を、
年間180日行ってます。
加えて、5万人が3〜4日過ごせるだけの
食糧を備蓄しています。
非常時を想定したサービスが
いつもの夢のサービスを支えているのです。
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